兼定 さて、10月も半ば過ぎましたね。
谷 はい。
兼定 なんか秋も深まってきたなぁ。
こんな時期って素敵な恋愛があるんじゃないかなとか思ったりするんですけれども。
谷 なるほど。
兼定 谷先生、この「愛について、恋愛について」ってどんなふうにお考えですか?
谷 うん。
恋愛とかって言いますとね、若い頃はいろいろ考えるもんですけど、
覚えているのが「追憶」っていう有名なアメリカの映画がありますよねぇ。
兼定 はい。
谷 あの映画で見たときにね、その帯にね、
「あの頃は、愛でさえも、大切に思えた」っていうキャッチフレーズがあったんですよねぇ。
兼定 ほう。
谷 「あの頃は、愛でさえも、大切に思えた」って読んだときに、どういうことなんだろうって思って。
兼定 うん。
谷 「愛でさえも大切に思えた」って、とてもひっかかったんですね。胸にね。
兼定 ええ。
谷 わかんなかったんですけれども、最近、ふと、そのことを思い出したときに、
なんとなくわかるような気がしてきて。
兼定 えっ。その「愛でさえも大切に思えた」、「でさえ」ってのが、凄い気になりますよね。
谷 そうなんですよ。
で、どんなふうに腑に落ちてきたかというと、最近思うんですけど、
人間っていうのはその、どう生きるべきかってのがとても大切な気がするんですよね。
兼定 う~ん。
谷 で、人にはその「道」とか「使命」とか、そういうものがあって、例えば歴史上でもね、
本当かどうか知りませんけど、土方歳三さんがね、京都で恋人がいたのに、その人、
いざっていうときはね、もう別れて、関東の方へずっと行って、最後は北海道まで死にに行くわけですよね。
で、そんなこととかも、いろいろ思いますと、人間にはその、生きてるうえでのね、やるべきこととか、
使命とか、立場とか、そういうもんがあって、まあ、仮にそういうものとその愛というものが両立しないときはね、
人間ていうのは多分、その自分がこのために生まれてきたんだと、思う道を歩くのかなぁという気がしてて、
そういう生き方をしている人が、ふと、若い頃の恋を振り返ってそういう言葉を言えば、そんな気がするなっと
思って。
兼定 な~るほど~。へ~ぇ。聞き入りました。ありがとうございます。