みらいレシピ「谷清司の法律歳時記」放送内容
法律家の文章~一義的に明確(平成21年5月10日)
兼定 さて、先週なんですけれども、実はフランス文学がお好きで、今、大好きな愛読書というと、
日本の作家、福永武彦さんの作品が好きだっていうお話を伺ったんですけれども、
法律家として、文章っていうのも、切っても切れない間柄ですよねぇ。
谷 そうですねぇ。法律家で大事ことは、まず、文章が書けないと、お話になりません。
兼定 そうですねぇ。やっぱり、文学好きっていうのが、活きてますか。(笑)
谷 まぁ、活きているといえば、活きてるかもしれませんねぇ。(笑)
ただ、法律家の文章っていうのは、やっぱり、そういう文学とかの文章とはだいぶ求められるものが
違いますから。美しさとか、あるいはその詩的な部分なんて、全くいらないわけで、
何が一番大事かっていうと、「一義的に明確」、つまり、ある文章が、他の意味には取れない。
そういう文章を書くことが、大事なんですね。とりわけ、だから、想像いただいたらいいんですが、
判決文、裁判所の書く判決文なんかが、ある文章が二つの意味にとれるとなると、
これ、えらいことになりますよね。どっちかわかんないってことになるとね。そういう文章ではダメ。
だから、必ず、「この文章が意味してるものはこれ。」と。そういう部分が大事ですね。
兼定 ほ~う。一義的に明確でなければならない。
谷 はい。
兼定 ほ~う。なんか、今の言葉も難しいですけれども、難しい言葉、多そうですねぇ。
谷 多いんですね。でも、やっぱり、文章の上手な人っていうのは、読んでいて、やっぱり、わかりやすいです。
だから、相手方の先生から出た書面なんかでも、文章の上手な先生が書いておられたら、
やっぱり、一読して、あぁ、これは何が書いてあるか、すぐわかるんですけれど、なかなか読んでて、
何が結局、言いたいんだろうみたいな、わからないような文章書かれる方もいらっしゃいますから。
兼定 ほ~う。
谷 やっぱり、難しい言葉使うっていうことと、文章がわかりやすいかどうかとは、
また、別の問題のような気がします。
兼定 あ~ぁ。そうですかぁ。
難しい言葉が入っていても、その文章自体は、わかりやすい文章ってことも、成立するわけですね。
谷 そうです。
兼定 そして、また、先生が書かれる文章で大事なことって言いますと、真か、義か、っていうようなことですか。
谷 いや、そうじゃなくて、相手を説得することなんです。
兼定 説得する。
谷 うん。
説得するために、いろんな理由づけもつけるし、論理も組み立てる。一言でいうと、相手をこういう方向で、
説得したいと。
それが我々の、書面なんですね。
兼定 ほ~う。なるほど。ですから、論理的であるべきであると、いうことなんですよね。
谷 そうです。
兼定 難しそうですけど、いいですね。
谷 はい。